仕事が趣味の落とし穴とちょうどいい距離感の話
「私は仕事が趣味です!」
こんな声を聞くと、
「趣味のように仕事ができるなんてうらやましい!」
「それって理想の働き方ですよね!」
と、思う人もいるかもしれません。
実は“仕事=趣味”には思わぬ落とし穴があります。
今回はひとり法人デザイナーとして働きながら感じたリアルな体験をもとに、“ちょうどいい仕事との距離感”について、お話したいと思います。
好きだからこその落とし穴
ある日突然気がつきました。
「あれ、そういえば1ヶ月間休みなしで働いていた」
「休日という概念がなくなっていた」
「息抜きのSNSも気づいたら仕事目線で見ていた」
どうやら私は無意識に働きすぎていたようです。
「クライアントさんのために・・・」と睡眠時間を削って夜中まで対応したり、
「凄いですね!」と言われると期待を裏切りたくなくて、もっと頑張らなきゃと鼓舞したり、
好きな仕事だから体調よりも納期を優先してしまったり・・・
“やりがい×好きな仕事×責任感×承認欲求”の全てがミックスされて、止まれなくなっていました。無理しているという自覚がないまま、疲労だけが蓄積されていたのです。
在宅ワークをしていると、プライベートと仕事との境界線が曖昧になりがち。特に好きなことを仕事にしているフリーランスの人や、ひとり法人のクリエイターの人は思い当たる節があるのではないでしょうか。
“仕事が趣味”という感覚を持っていると、休むことに罪悪感を抱きやすい気がします。駆け出しのフリーランスの人は、依頼を断ることで仕事を失う怖さもあり、余計にがむしゃらになってしまいますよね。
のちに気がついた「危険サイン」
「少し疲れているだけかもしれない。」
「たまにはこういう日もあるよね。」と、見過ごしていたさまざまな変化。
いま思い返してみれば、危険サインはいくつかありました。
例えば
“朝、パソコンを開くのがつらくなってきた”
やる気すら起きず、気がついたらスマホばかり見ていたなんてことも(笑)
“好きだった仕事がルーティンのように感じるようになった”
わかりやすくお伝えするとタスクをこなすような感覚とでも言うのでしょうか。
“仕事が完成しても感じるのは達成感ではなく「やっと終わった」という気持ちだけ”
達成感を得られない仕事って続けるのがしんどいですよね。人間だもの。
“プライベートの趣味も仕事目線で見てしまい楽しめなくなった”
アニメショップに行っても、制作側の苦労を想像することがしばしば(笑)
印刷物の色数や印刷手法を見ては「特色使っているし、印刷にもこだわっている・・・これはかなりコストがかかっているな」みたいな。
常に仕事が頭によぎってしまうのです(笑)
ちなみに“特色”とは印刷するときに使用する基本的なカラー(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)では表現できない色のことを言います。とにかくコストがかかるのです!
話は戻りますが、ざっと思いつくだけでもこのようにいくつかのサインがありました。
「わかるわかる~」という人、要注意です(笑)
それでも好きな仕事を長く続けるために
数々のサインに気づいたときに、私は仕事に対する意識を変えました。
好きなことを長く続けるためにです。
ー1つめー
『完全オフ日を作る!』
在宅ワークは打ち合わせなどを除いては、基本的には稼働時間を自由に決められます。
良くも悪くも、いつでも仕事ができてしまうのです。
仕事をしない日を強制的に作りました。“強制的”なのがポイントです!
趣味=仕事という意識を持っていると、意外と難しい気がします。
ー2つめー
『趣味や友人との時間を優先する』
納期が気になってしまうと、ついついプライベートの優先順位が低くなってしまうんですよね。
しかし気分転換はとても大切です。
誰かと話すこと、ご飯を一緒に食べること、お酒を飲むことでその時間は仕事から離れられました。
ー3つめー
『仕事に対する意識を変えた』
好きな仕事ほど、こだわりもあるため自分一人で抱え込んでしまいがち。
これは在宅ワークの人だけではなく、長年同じ仕事を続けてきた人も同じような状況に陥ったことがあるかもしれません。
仕事の仕方を見直したときに気づいたこと。
それは「全部を自分でやらなくてもいい」ということ。
外注などを通して、人に頼りながら仕事をすることで少し気持ちが軽くなりました。
ー4つめー
『あえて納期に余裕をもたせる』
“あえて”というところがポイントです。
納期に余裕があると、急なトラブルや変更が発生しても気持ちに余裕を持って対応できるようになります。ストレスが格段に減ります!
この4つを意識しただけで、仕事とちょうどいい距離感を作れるようになった気がします。
好きな仕事を続けるために
「仕事が趣味です」
と言えるのは、とても幸せなことかもしれません。
けれど好きな仕事を長く続けるためには、ある程度の距離感がとても大切。
好きだからこそ、自分を休ませることも仕事のうちだと思えるようになってきました。
今回のお話が、同じように頑張りすぎてしまう人の肩の力を抜くきっかけになれたら嬉しいです。
みなさんは自分を大切にしながら働けていますか?