「デザインデータをください!」データは渡せる?渡せない?

「デザインデータをください!」データは渡せる?渡せない?

「印刷はこちらで手配するので、データだけ貰えればOKでーす!」

「デザイン料支払ったのに、データ納品も別に支払わなければいけないの?」

クライアントさんからこのようなお声をいただくデザイナーも少なくありません。

結論からお伝えすると、基本的にはデザインデータのお渡しはしておりません。

デザインへの想い

「え?自社が頼んだものだし、自社しか使えないデータなんだからそのまま引き渡しても問題ないのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

実は「データだけ渡してください!」というご要望…ほかの業種に例えると、

  • 秘伝のレシピを教えてください!あとはこっちで安く作ってくれるシェフに頼むので!
  • 映画のフィルムをください!こちらで安く上映できるところを見つけるので!


というのと、同じようなことなのです。
デザイナーにとって、なかなか厳しいご要望であることをおわかりいただけるでしょうか?

そしてクライアントさんにデータをお渡しした時点で、制作したデータはデザイナーの手を離れるため改変や流用がいくらでもできてしまう状態となります。

それだけではなく、チラシ用で作成したデータを無断でポスターにしたり、文字やカラーを変えたりすることも可能となってしまいます。

さらにはあまり考えたくないケースではありますが、データの流用によりほかのデザイナーが、自身が作成したデザインとして、実績・提出することもできてしまうのです。

怖いですね!

そのような最悪の事態が発生した場合、良くも悪くも被害を受けるのはデザイナーだけ。

クライアントさんの要望やコンセプトに沿って一生懸命作成した愛着あるデザインが、そのような使われ方をするのはやはり不本意ではあります。

つくる人、頼む人、著作権の所在は?

「でも、自社が依頼したものだから、著作権?はこちらにあるのでは?そしたら、どう使おうとこちらの自由ですよね!」

そうですよね!

ここまでの流れで気になるのは”著作権”ですよね!

そう!著作権です!!!

ここでしっかりとお伝えしておきたいのですが、クライアントさんと密にやりとりをして打ち合わせを重ねたデザインであっても著作権は基本的にデザイナーにあります。

実はここはお互いにとって重要なポイントです!

制作したデザインは著作権により守られていて、その著作権を持っているのは依頼したクライアントさんではなく制作したデザイナー本人です。

そのためデザイナーの許可無くデータに手を加えることは、同一性保持権(著作者人格権)に触れてしまいます。
「自社が依頼して納品してもらったし、お金を払ったから良いでしょ?」と、デザインを改変することはタブーです。

著作権には先述した著作人格権と、これからお話する財産権があります。
財産権とは簡単にお伝えすると、制作したデータで利益を得る権利です。

その権利を手放す際には著作権譲渡料が発生します。
譲渡した時点でクライアントさんが追加で10部印刷しても、10,000部増刷してもこちらは何も口出しすることはできません。

口出しできないどころか、データをお渡しした時点で本来なら得られるはずの権利(利益)を損失してしまうということにもなります。


「いやいや、うちはそんなに増刷しないんだからそこまで深く考えなくても」と考える方がいらっしゃるのはわかります。
しかしデザイナー側ではクライアントさんが今後どのくらい増刷するかの把握ができないのも事実。

失礼な話だと捉えられたら申し訳ないのですが、印刷予定部数をクライアントさんが正しく提示してくださっているかの見極めもできません。

そのため、あらゆる可能性を含めた金額をデザインデータ譲渡料として提示させていただいております。

再度お伝えいたしますが、基本的にはデザインデータのお渡しはしておりません。

しかし、どうしてもデザインデータを渡して欲しいという場合には
できる限り改変できないようにした状態でデータをお渡しするのが一般的な流れであることを知っていただければと思います。

そしてデザインデータをお渡しする際には、別途料金が発生するのも基本的な流れです。
デザイン料はあくまでも納品物に対する料金で、デザインデータの譲渡料は含まれておりません。
ちなみにデータ譲渡料はデザイン料の2倍から10倍が一般的と言われております。 

「データは少しも変えません!印刷コストを少しでも抑えたいだけなんです!」という思いでデータ譲渡を依頼してみると、安く済ませたいつもりが意外とそうではなかったというケースも少なくありません。

もしもコスト削減のために、デザインデータの譲渡をご希望されているのであれば、今後考えられる増刷枚数やデータに手を加える予定が無いかを今一度精査していただければと思います。

デザインデータは無償で渡すものではないのです

日常的に金銭でやりとりが発生するものには、なんとなく決められた価格(相場)がありますよね。
しかしデザインには一般的に知られている価格の目安がない(正確には認知されていない)のが事実です。

そのため「データを貰うのに別に料金がかかるの?」「デザイン制作はこんなにかかるんですね」などのお声をいただくことがあります。

もちろん「こんなに安い価格でデザインしてくれるの?!」というお声も!
ありがとうございます!!

デザイナーのほとんどがクライアントさんとの関係を大切にしたいと考えているため、適正価格で見積もりを出していることがほとんどです。

クライアントさんと共により良いデザインを作り上げるためには、これまで培ってきた経験や技術が必要だと考えます。

コストがかかる専用ソフトを使用し、そのソフトをスムーズに扱えるスペックのデバイスを用意しています。
デザインはオートでできないため、レイアウトなどは手作業で行いながら仕上げなければいけません。

当たり前のことではありますが、同業種のクライアントさんから依頼をお受けしてもデザインのデータを使い回しすること(パターン化)することはいたしません。
しっかりとクライアントさんと打ち合わせをして、コンセプトや希望に沿ったデザインをゼロから制作しています。

異業種であれば制作するデザインが変わるのは当然のこと。

しかし同業種であってもターゲットやコンセプトは変わるため、デザインの使い回しは不可能です。

カフェのチラシを制作するのにしても、お一人様向けのカフェにするのか?お子様も一緒に過ごせるカフェにするのか?高級感ある雰囲気を打ち出したいのか?によって、ターゲットは大きく変わってきます。

この例えだけでも、データ制作に使い回しができないことと、クライアントさんとの打ち合わせを重ねながらひとつひとつ丁寧にデザインしていることがわかっていただけるかと思います。


弊社ではひとつひとつの成果物に対してオンリーワンのデザインを施しています。
現物納品の場合には、印刷所へ立ち会いをしながら納品物の色味などを確認しています。

安心してご依頼いただけるように、クライアントさんとの打ち合わせのあとに見積もりを提示しているので、まずはご一報いただけると幸いです!

OGA TO DESIGNはもちろんですが、仕事に誇りを持っているデザイナーのほとんどが、クライアントさんのコンセプトや希望に沿うことを優先しています。
それと共に適正価格の目安を知っていただくことも大切だと考えています。

ここまで著作権やデータ譲渡料などについてお話したのには理由があります。

実は「データをください」とおっしゃるクライアントさんが多いのです。

こちらとしては「はい!良いですよー!」とお渡しするわけにはいきません。


いま一度、デザイン料とデザイン譲渡料、著作権などについてご理解いただければと思います。

今回はデザイナーの事情についてお話させていただきました。

今後のお仕事のご依頼の参考にしていただければ嬉しいです!

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