ひとり法人でデザイナーをやってみてわかったこと

ひとり法人でデザイナーをやってみてわかったこと

ゆるりと始めたフリーランス。

2年ほどは屋号を持たずに細々と活動を続け、屋号を持ち3年ーーー

5年ほどのフリーランス期間を経て、法人化に踏み切ったOGA TO DESIGNも気がつけば1年ちょっと経ちました。

法人化と聞くと

「事業拡大!」

「なんか凄い!」

というイメージをもたれがちではありますが、劇的な変化があったわけではありません。

今回は法人化してからこれまでの体験や、気持ちの変化についてお話しようと思います。

きっかけは信用の壁だった

フリーランスとして活動していた中で「いずれは法人化を・・・」という漠然としたイメージを持っていたものの、きっかけは突然でした。

その突然のきっかけは、クライアントさんとの打ち合わせでのやり取りです。

『請求書は会社から出ますか?個人だと社内稟議がちょっと通りにくくて』

フリーランスとして何年も活動を続けているのに、、、

仕事の内容も実績も変わらないのに、、、

“個人”と“法人”の間に、見えない壁を感じた瞬間でした。

しかしこの出来事があったお陰で、私は新しい一歩を踏み出すことができました。

“会社同士”で契約ができるということ。

この事実はクライアントさんにとって、安心材料になっていると実感しています。

法人化してまず変わったのは“名刺”

法人化して最初に変えたのは名刺です。

ー肩書きは“代表社員”ー

当時は「たった一人の会社なのに、ちょっと大げさじゃないかな?」と、多少の気恥ずかしさを抱きながら、名刺をお渡ししていました。

しかし私の気恥ずかしさとは裏腹に、お相手の方々の反応がこれまでと全く違うのです!

「あ!ちゃんとした法人なんですね!」

「へぇ!代表なんですか!」(この反応はお一人ですが、笑)などなど。

存在を認めていただいているような・・・

立場を尊重してもらえているような・・・そんな雰囲気でした。

法人という看板を背負うことで、信頼感や規模感が自然に伝わるのかもしれません。

“代表社員”という肩書きの影響は想像以上でした。

事務作業や手続きとの格闘の日々

肩書きの影響力に驚いたのもつかの間、私の前に高い高い壁が立ちはだかります。

それは、ありとあらゆる事務作業や各種手続きです。

法人化すると、とにかくやることが増えます。

企業では経理部、総務部、法務部、営業部・・・と各部署にいるプロフェッショナルが業務を進めることで、事業が成り立っていますよね。

法人化するとその全てを私一人でやらなければならないのです!(当たり前か!)

頭ではわかっていたんです!わかっていたんですよ!

わかっていたものの、その業務内容は想像を絶するものでした。

まずは税理士さんと顧問契約を結ぶことから始めました。

次に取りかかったのは、社会保険や雇用保険の手続き、銀行口座開設や決算対応など・・・とにかくめまぐるしかったです。

初めて“労働保険概算保険料申告書”を書いたときには、正直めまいがしました(笑)

最初の数ヶ月は「これはどこに提出するの?」「この日付って何のこと?」と、自問自答の日々。

少しずつ慣れてきた現在は“ひとり総務部”として、なんとか業務を進められるようになりました。

経理の仕組みや売上の管理方法、そして事業主勘定の扱いを理解したことで、“会社”と“プライベート”の境界がはっきりしました。

そして会社に対する概念もしっかりと整理できたと感じています。

想像以上に大変な日々でしたが「自分の会社のことを自分で知る」という貴重な経験ができました。

少しずつ変化した仕事の幅や信頼

法人化後は仕事面でも少しずつ変化が現れ始めました。

変化として実感したのは

“いただけるお仕事の幅が広がったこと”

“クライアントさんからの信頼感”

の2つです。

法人化前はクラウドソーシング内の案件を受注することがメインでした。

しかし現在は

  • 製造業団体のロゴ・Webサイト制作
  • オリジナル商品のブランディングとパッケージ設計
  • 地元事業者とのクラウドファンディング企画

など、法人らしい活動ができる案件や、コンペ案件の受注件数も増えました。

実際に「法人同士で契約できるので安心」という理由で、クライアントさんから声をかけていただけることもありました。

法人化は器を作ること

法人化したことで、私を取り巻く環境は変わりました。

「ビジネスチャンスを広げたい」

「事業を拡大したい」

そのような気持ちはなく踏み切った法人化。

今は「形にすることで、できることが増えた」と感じています。

経験を通して得られたものもありましたが「やってみて初めて気づくことができたもの」のほうが多かったです。

自由が増えたけれど、責任も増えました。

名前が変わっただけで、見られ方も私自身の意識も変わりました。

税金手続きや書類作成は相変わらずややこしいけれど、事業の輪郭がはっきりしてきました。

私自身としては「会社を作った」というよりも「安心して仕事を託していただける“器”をひとつ作った」というような感覚です。

これからも、このひとつの器を少しずつ大切に育てながら色々な人と面白いことをしていけたらいいなと思っています。

私はまだひとり。

今はまだまだ通過点です。

「法人化して良かった?」

と聞かれたら、私はこう答えます。

「やってみたからこそ、分かったことがたくさんある」と。

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