デザイン料金ってどう決まるの?〜見積もりの裏側、お見せします〜

「ちょっとデザインをお願いしたいんだけど、これっていくらくらいかかるの?」
このようなご相談をいただくことが良くあります。
”ちょっと”でできることではないですよー!という心の声はまず置いといて、金額をお伝えすると次のようなリアクションをされることが多いです。
「えっ!思ったよりも高い・・・・!」
なんということでしょう!とっても気まずい瞬間です。
適正料金をご案内しているにもかかわらず、このようなリアクションをいただいてしまうのです!!
この気まずい時間、きっとお互いに良くありません。
今回はご提示しているデザイン料金の見積もり額がどのように決まっているかについてお話させていただこうと思います。
デザイン料金=「手を動かす時間」だけじゃない
お仕事のご依頼をいただく際に、
「1枚いくらですか?」
「大体何時間で作れそうですかー?」
と聞かれることがあります。
こちらのご質問、実は簡単にサクッとお答えできないのです(泣)
デザインはどんなに小さいサイズであっても、どんなにシンプルな内容であってもソフトを開いて既存デザインやワードを組み合わせて完成!ではありません。
そしてソフトを開いて手を動かす時間=デザイン料金というわけにもいかず。。。
クライアントさんにご提示しているデザイン料金には、次の内容が含まれています。
・人件費
いわゆる原価ですね。制作にかかる時間とこれまで培ってきたスキルを加味して設定しています。スキルも一朝一夕で積み重ねられるものではありません。お金と経験をかけて取得したデザイナーにとって大切な財産です。
・考える時間
リサーチタイムです。これは本当に時間がかかりますが、デザインの主軸を創るために一番大切な工程です。どのような企業なのか?どのような商品なのか?などを調べます。
そしてターゲットとなる層やデザインのイメージ、コンセプトを頭の中でぐるぐる考えます。
この時間は端から見ると「仕事しているの?」と疑われそうですが、脳内は猛烈フル回転です(笑)
・構成案の設計
クライアントさんが伝えたい情報を整理したり優先順位をつけたりしながら、構成を固めていきます。
トーン&マナー(トンマナ)などもここで決めていきます。トーンとは色調、マナーとは様式のことです。トンマナを合わせることでデザイン全体に統一感が生まれ、方向性も明確になります。
・デザイン案の作成
クライアントさんのニーズに沿うために、複数の案を作成します。
1つの案を作成して「できましたー!はい、どうぞー!!」というわけではないのです。
・修正対応
より良いデザインに仕上げるために、打ち合わせを重ねて微調整をしていきます。
・納品用のデータ作成
ようやく納品準備です!クライアントさんの使用目的に合わせた印刷用データやWeb用データなどの書き出しを行ないます。最終チェックをしていざ納品です。
・・・いかがでしょうか?ひとつのデザインを作成するにあたって、このような工数を積み重ねています。
しかし、これはあくまでも一般的な流れです。
次のようなケースがあれば、追加で料金をいただくこともあります。
・写真撮影やイラストの制作費
もちろん外注することもあります。デザイン以外に写真撮影やイラストの制作が必要になると、さらに制作(撮影)時間が必要となるため追加で料金が発生します。
・印刷費や実費
入稿手数料や印刷物の郵送が必要になった際の送料などが含まれます。遠方のクライアントさんと対面で打ち合わせを要する場合は交通費をいただくこともあります。
・大幅な修正や二次利用料
基本的には修正対応もデザイン料に含まれていますが、大幅な修正が発生した場合には追加料金が発生するケースがあります。
過去に投稿した弊社のコラム【「デザインデータをください!」データは渡せる?渡せない?】でもお話しているように、データ譲渡が必要になった際にも別料金が加算されることをご承知いただけると幸いです。
料金設定、ご納得いただけたでしょうか?
え、まだ納得いただけていない?!そうですか。。。
ではさらに深くお話させていただきましょう!
意外と知られていない“見えない工数”
先述しているように、目には見えない設計図をしっかりと頭の中で描いてから手を動かす作業に入ります。
この見えない設計図を考える工程を飛ばしてしまうと、見た目がどんなにおしゃれなデザインであっても、肝心のターゲットに伝わらないという残念な結果になってしまうことも。。。
完成させるデザインは”おしゃれっぽいよね!”ではなく”きちんと伝わるもの”にする必要があります。
そのためには
「人々がどのような日常生活を送り、どのような願望を抱いているのか?」
「ターゲットとなる層に受け入れられるデザインか?」
「クライアントさんのニーズをデザインにどのように反映させるのか?」
など多方面から考えなければなりません。
例えばチラシを作成する際には、次に挙げる”見えない工数”を踏んでいます。
・目的の確認
作成するチラシのゴールを明確にします。集客を増やしたいのか?商品やサービスを認知してもらうためなのか?販売目的なのか?など、ゴールはクライアントさんによって様々です。
・ターゲットの整理
誰に届けるためのデザインなのかを明確にします。年代や性別、ターゲット層のライフスタイルなど細かいところまでイメージします。ここを明確にしないと、結局は誰にも伝わらないデザインとなってしまうのです。
・導線の設計
デザインには複数の情報が盛り込まれます。優先順位を明確にした上でクライアントさんの伝えたい情報がユーザーにとって読みやすい流れになっているか?など、導線の設計をしていきます。
目には見えない設計図を創るために何時間もかかることがあります。この”考える工数”を丁寧に行なうことで、見た目の美しさ以上に価値がある”目的を果たすデザイン”を創れるのです。
デザインや技術は日々進化しているため、どんなに経験を積んでいてもリサーチにかける時間はスキップできません。
安い or 高いだけじゃない、“価値”で考える視点
商品やサービス、企業のイメージや価値を左右するデザイン料金は”安い””高い”だけで判断するものではないと考えています。
デザインに対する価値観は人それぞれ。それは私自身も理解しています。
しかし長期的な視点で見たときに必要なのは「目的を果たしているデザインか」という点ではないでしょうか?
デザイナーに依頼してみて「広告の反応が良くなった!」「商品の売上げが伸びた」「ブランドイメージが伝わった」などの結果を得られれば、デザイン料金以上の価値が生まれているはずです。
良い関係は“お互いの理解”から
多くの人々の思いが込められた商品やサービスの魅力を伝えることが、私たちデザイナーの仕事だと考えます。
デザインを作成する際の目的は、お互いに同じはずです。その目的を達成するために、スムーズな発注や気持ちの良いやり取りは必要ではないでしょうか。
OGA TO DESIGNではクライアントさんの不安を少しでも解消できるように、丁寧に打ち合わせや見積もり提示をさせていただいています。ぜひお気軽にご相談ください!