印刷物にWeb画像を使用すると何が起きるのか?

OGA TO DESIGNではチラシや広告など、さまざまな紙媒体のデザインを承っております。
デザイン作成にあたりクライアントさんと打ち合わせをしていると
「ここに差し込む画像はネットに載っているのを使ってください」
「HPのロゴをそのまま使ってもらって大丈夫ですよー」
というお声をよくいただきます。
“可能な限りクライアントさんのご要望にお応えしたい!”
という気持ちは山々なのですが、一瞬次の言葉が頭の中をよぎります。
「だ、大丈夫かな?」
今回は“なぜ、この言葉が頭の中をよぎってしまうのか?”という理由とともに、Webと印刷物の画像の違いについてのお話をしようと思います。
実はWeb画像を印刷物に使う際には、注意点があるのです。
Web画像と印刷画像では何が違うのか?
Webの画像やロゴを印刷物にそのまま使用すると、ぼやけたり色が沈んだりすることがあります。
なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?
それはWebと印刷物とでは、使用している画像の「解像度」や「カラーモード」が違うためです。
「か、かいぞうど・・・?」
「か、からーもーど??」
ご安心ください!簡単にご説明させていただきます!!
まずは解像度についてお話します。
解像度は「画像解像度」と「画面解像度」の2つの意味をもちますが、今回のコラムに関連しているのは前者です。
どんなになめらかに見えていても、画像は細かい点の集合で作られています。
画像解像度とは、画像を構成する点の密度を“dpi”という単位で表したもの。1インチ×1インチの枠内に点が何個あるか?を表し、数値が高いほど鮮明で美しい仕上がりとなります。
鮮明で美しい画像を作るために、弊社ではWeb画像は72dpi、印刷画像は350dpiを目安としております。この数値を比べるだけでも、Web画像が印刷に必要な解像度に達していないことをおわかりいただけるでしょう。
またWeb画像と印刷画像ではカラーモードも違います。
カラーモードとは目的の色を表現する方法のことです。
WebはRGB(レッド、グリーン、ブルー)で色を表現していますが、印刷物はCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、キープレート=ブラック)で表現しています。
表現したい色を作るために使用するカラーや、作り出す方法、表現できる領域が異なるのです。
RGBカラーは混ぜ合わせるほどに明るい白に近づきますが、対してCMYKカラーは混ぜ合わせるほど黒に近づいていきます。
Web上では鮮やかだったのに印刷するとぼやけたり色が沈んだりするのも、そのためです。
ありがちな失敗例
画像解像度が満たされていない状態で印刷したり、サイズを引き伸ばしたりすると、画像の粗さが目立ちガビガビになります。
スクリーンショットやSNSアイコンの使い回しも注意が必要です。
使い回しを重ねるたびに画像が劣化し、見るも無惨な姿に。。。
ありがちな失敗例ではあるのですが、パソコン上では画像がきれいに見えるので、異変に気づきにくいのが難しいところ。Web上ではきれいに見えるからOK!と進めていたのに、いざ印刷してみると画像やロゴがぼんやりしている・・・ということは“失敗あるある”です。
その“失敗あるある”を避けるために、Web画像を印刷する際には目視で確認した印象だけではなく、データの段階からしっかりとチェックする必要があります。
そしてもう1点、注意するべき失敗あるある・・・。
それは無断使用による権利面のリスクです!!!
「え!クライアントさんが自社の画像やロゴを使ってと言っているんだから問題ないんじゃないの?」
いや、実はですね、、、
企業のロゴなどの著作権を持っているのが、クライアントさんではなく作成したデザイナーというケースがあります。
それは「著作権譲渡契約」を結んでいない場合です。
譲渡契約を締結することではじめて、企業側が自由に利用できるようになります。
契約内容によっては自社のロゴだから自由に使い回してOK!というわけではないので、こちらの点もお気をつけくださいね!
ちなみに権利にかんしては過去コラムの“「デザインデータをください!データは渡せる?渡せない?”に、より詳しく記載しております。
ガビガビ画像はこれで解決!
ではWeb画像を印刷物に使う際にはどうすれば良いのでしょうか?
写真の場合は元データを、そしてロゴの場合にはベクターデータの使用が理想的です。
AIやPDFなどのベクターデータであれば、拡大・縮小に強いため印刷物に使用しても画像が劣化しません。
画像は印象を決める資産
チラシやポスターはお客様との大切な接点のひとつです。
紙媒体では限られたスペースの中で情報やイメージをしっかりと伝える必要があります。ポスターやチラシに掲載されている写真やロゴがガビガビ状態だと、見栄えが悪いだけではなく安っぽく見えてしまうでしょう。
画像は素材の一部ではなく、イベントや商品、さらには企業の印象を決める資産だという意識を持っていただけると、よりクオリティの高い成果物を作ることができるのではないでしょうか。
画像データ、印刷物についてのお悩みごとやご不明な点があれば、ぜひお気軽にOGA TO DESIGNにご相談ください。